自分で家系図マインドマップを作ろうと思った場合、どのようなハードやソフトやスキルが必要になるでしょうか。
目次
ハードウェア要件
パソコン
ハードとしては、パソコンとプリンタが必要です。
マインドマップソフトFreeMindを使うためには、以下のOSが要件となります(「FreeMind使おう会」参照)。
- Windows
Windows 2000以上。
ずいぶん古い要件ですが、2019年8月現在の最新の環境であるWindows 10 May 2019 Updateでも正常に使えます。
- Mac
Mac OS X v10.1以上。
- Linux
各種Linuxディストリビューション(Linuxを一般利用者がインストールしたり、利用できる形にまとめ上げたもの)と、それらがインストールできるアーキテクチャのPCが必要。
インテル・アーキテクチャのPCで動作するUbuntuなどのLinuxディストリビューションが一般的ではないでしょうか。
本サイトの「家系図作成サービス」で提供するLinux版FreeMindもUbuntuにFreeMindをインストールしたUSBにしています。
ただLinuxは、家系図マインドマップでよく使う大きな「カスタム用紙」に対応したPDF作成ソフトが見つからず、工夫が必要です。
プリンタ
家系図マインドマップの一部を印刷して、実際に印刷される文字の大きさや家系図の「感じ」を確認する際に使います。
A4が印刷できればいいでしょう。
ソフトウェア要件
Java Runtime Environment(フリーソフト)
マインドマップソフトFreeMindはJava Runtime Environment(以下Java)上で動作します。
そのため、FreeMindをインストールする前提として、パソコンのOS(Windows、MacOS、Linux)用のJava Runtime Environmentをインストールしておかなくてはいけません。
JavaはJava 8 Update 201をおすすめします。
「Java SE 8 Archive Downloads (JDK 8u202 and earlier)」のページの
「Java SE Runtime Environment 8u201」
からご自分のパソコンに合ったものをインストールします。
わたしが確認した範囲ですが、FreeMindを使う上で不適であったJavaのバージョンがあります。
- Windows版 Java 8 Update 161
FreeMindの文字入力速度が極端に遅くなります。
- Windows版 Java 8 Update 211
FreeMindの写真添付ができず、以前添付した写真も表示されません。
- Windows版 Java 8 Update 231(2019年12月現在最新版)
FreeMindファイルをコピーして開くと、そのファイルは開けず、白紙の新規画面となる。
Windowsではコマンドプロンプトで
java – version
とコマンドを入力するとインストールされているバージョンが確認できます。
Java 8 Update 201の場合は、下の図のように表示されます。

マインドマップソフト FreeMind(フリーソフト)
FreeMindは「FreeMindのダウンロード」からダウンロードできます。
最新版は1.0.1(2018年8月Update)です。
「FreeMind使おう会」によると
FreeMind 1.0.1には、FreeMindファイルのアイコンが白紙になるというバグがあります。初めての方にはFreeMind 0.9.0または1.0.0をお薦めします。
となっていますが、Windows 10ではアイコンも正常です。
Windows版のFreeMindは、Java Runtime Environmentが入っているタイプ
FreeMind-Windows-Installer-1.0.1-max-java-installer-embedded.exe
と、入っていないタイプ
FreeMind-Windows-Installer-1.0.1-max.exe
があります。
最初に最新版のJavaをインストールしたのち、Javaが入っていないタイプのFreeMindをインストールするといいでしょう。
最新版の時期を見てもわかるように、アップデートを現在(2019年11月)も続けているソフトではありません。
最新の他のソフトと比べると、インターフェイスはかなり古く感じますが、家系図を作成し印刷する分には十分だと思っています。
PDF作成ソフト
PDF作成ソフトは非常に数多くあります。
家系図マインドマップは、既定の用紙でおさまらない場合が多いので、自分で大きさを指定するカスタム用紙でPDFが作成できる機能がついているものがいいでしょう
ただ、一辺が100cm以上になるカスタム用紙でPDFを作成できるPDF作成ソフトの数は少ないと思います。
PDF作成ソフトは有料版も多いので、購入する場合は、カスタム用紙印刷がうまくできるか、体験版で確認しましょう。
PDF作成ソフトの定番Adobe Acrobatですが、設定できる用紙サイズが「最大サイズ 635000mm×635000mm」で、他のソフトと比べて群を抜いて大きな用紙サイズをサポートしています。
しかし
1300×1300mm 以上のカスタムサイズを指定すると、環境によっては PDF ファイルの作成ができないという問題が確認されています。この問題については現在調査を行っております
「最終公開日:2018年12月18日」 の公式サイト
とあります。
確認のため、Acrobat Standard DC無償体験版で100cm×500cmカスタム用紙の家系図マインドマップのPDFを作成してみました
短辺を100cmに固定し、長辺を100cm、200cmと伸ばしていくと、300cmを超えるくらいから設定ができなくなりました(2019年8月)。
「家系図マインドマップの一番の難関は「印刷」 」で述べたように、印刷は家系図マインドで一番やっかいなところです。
とくにカスタム用紙印刷はうまくいかないかもしれないので、自作した家系図マインドマップのPDF作成の部分だけでも、当方に依頼することは可能です。
そういう場合は、「家系図作成サービス」から申し込んでください。
PDFビューア
表示拡大率を指定して、100%の拡大率で文字の大きさを確認できるものが必要です。
また、PDFの一部分だけを印刷する機能が必要です。
この機能で、一部分だけを100%の大きさでA4に1枚だけ印刷し、実際の文字の大きさを確認できるからです。
おすすめのPDFビューアーについては、「PDFビューアーソフトのまとめ」をご参照ください。
家系図作成の元となる資料
戸籍
戸籍の編製単位
戸籍は個人ごとにひとつ作成されるものではありません。
複数人単位で作成されるので、編製の単位があります。
戦前では「家」で、戦後は「夫婦とその未婚の子ども」です。
戸籍は、戦前は「家」単位のメンバー表、戦後は「夫婦」単位のメンバー表のようなものです。
そのため戦前の戸籍は現在の戸籍にくらべて、ひとつの戸籍により多くの人が記載されています。
戸籍の書式の種類
戸籍は明治4年の戸籍法に基づき、明治5年に作成されました。
それ以降、6種類の書式が存在します。
- 明治5年式
明治5年式戸籍は、現在取得できません。 - 明治19年式
- 明治31年式
- 大正4年式
- 昭和23年式(「現行戸籍」という言い方をされることもある)
- 平成6年式(「コンピュータ化された現行戸籍」という言い方をされることもある)
家系図用に役所で集める戸籍は、明治19年式から平成6年式の5種類のいずれかの書式タイプの戸籍となります。
上記のような書式の変更は、戸籍法の改正によっておこなわれ、「改製前の現役の戸籍」をもとに「新しい戸籍」が作成されます。
「改製前の現役の戸籍」は、以後は「改製原戸籍」として扱われます。
戸籍の扱いの種類
現在戸籍
現在生きている人が記載されている「現役の戸籍」ともいうべき戸籍です。
除籍(簿)
死亡や婚姻で戸籍から抜けることも「除籍」といい、戸籍上にも「除籍」と表記されます。
ここでいう「除籍(簿)」はそれとは異なり、戸籍の扱い方の種類を指します。
死亡や婚姻などで、その戸籍に記載されている人全員が戸籍から抜けると、その戸籍全体を「除籍」として扱います。
改製原戸籍
上記「戸籍の書式の種類」で述べた新しい書式に変更されるごとに、「改製前の現役の戸籍」をもとに新しい戸籍が作成されます。
「改製前の現役の戸籍」が「改製原戸籍」として扱われます。
戸籍は3種類のいずれかとして保存されている
ひとつの戸籍には誕生してから使われなくなるまでの流れがあります。
戸籍の新設
戦前では「家督相続」「分家」「一家創立」、戦後では「婚姻」「分籍」、戦前戦後を通じて「他市町村からの転籍」などで新しい戸籍が作成されます。
戸籍の終わり
戦前では「家督相続」、また戦前戦後を通じて「他の市町村への転籍」などの場合は、古い戸籍に代わり新しい戸籍が作成されます。
では古い戸籍はどうなるのでしょうか。
古い戸籍は「閉鎖」され、「除籍」として扱われます。
また、戦前では「廃家」「絶家」、また戦前戦後を通じて「在籍者全員が死亡や婚姻でいなくなった」場合には、戸籍そのものがそこで終わります。
この終わった戸籍は、上記「戸籍の扱いの種類」の「除籍」として扱われます。
このように「使われなくなった戸籍」は「除籍」扱いとなります。
戸籍の改製
「戸籍の新設」から「戸籍の終わり」までの、いわば「現役の戸籍」の時代には「戸籍の改製」に遭遇します。
戸籍法の改正で書式を変えるために、そのときの「現役の戸籍」を対象に新しい書式の戸籍が作成されるのが「戸籍の改製」です。
改製作業により「改製前の現役の戸籍」と新しい「現役の戸籍」が生まれます。
このときの「改製前の現役の戸籍」は、上記「戸籍の扱いの種類」の「改製原戸籍」として扱われます。
戸籍の改製によって新しく作成される戸籍は、改製時に生きている人が記載されている「現役の戸籍」だけです。
改製時に「除籍」として扱われている戸籍は、改製作業の対象とはなりません。
また、あたりまえですが、改製前後の戸籍は同じ市区町村にあります。
改製は「改製前の現役の戸籍」の書式変更なので、これによって本籍地が変わることはないからです。
戸籍請求書の「改製原戸籍」にチェックを入れることで、改製前後の戸籍を同時に入手できます。
「改製原戸籍」が家系図作成に必要な理由は、改製によって新しく作成される戸籍は、「改製前の現役の戸籍」の情報がすべて記載されるわけではないからです。
たとえば平成6年式への改製では、以下の内容は引き継がれません(東京都北区「改製原戸籍謄本・改製原戸籍抄本」)。
- 死亡、婚姻、離婚などによって戸籍から除かれたこと
- 離婚、養子縁組をしたこと
- 誰かを認知したこと、養子にしたこと
- 帰化をしたこと
家系図用に戸籍を収集する際はすべての情報が欲しいので、その戸籍が改製によって作成されている場合は、「改製前の現役の戸籍」(「改製原戸籍」)も取得する必要があります。
このように、「現役の戸籍」ではない過去の戸籍はすべて「除籍」か「改製原戸籍」として扱われ保存されています。
市区町村に提出する「戸籍請求書」には「戸籍」「除籍」「改製原戸籍」の3種類がそれぞれ必要かどうかチェックをするようになっています。
家系図作成で請求する場合は、すべてにチェックを入れます。
請求する戸籍は、「戸籍(現役の戸籍)」か「除籍」かのいずれかの戸籍が出てきます。
その戸籍が改製作業を経ていれば、改製前の「改製原戸籍」を持つので、それも出てくるということになります。
附票
「戸籍」「除籍」「改製原戸籍」の各戸籍にはそれぞれ「附票」というものがあります。
それぞれ「戸籍附票」「除附票」「改製原附票」です。
「附票」とは戸籍と一対で作成され、その戸籍に記載されているすべての人の、その戸籍が有効だった期間中の住所の履歴を記録したものです。
通常の家系図では住所は書きませんが、家系情報をまとめるという一面をもつ家系図マインドマップでは、取っておきたい情報です。
現在使われている戸籍の「附票」は当然請求できます。
「除籍」「改製原戸籍」の「附票」は、保存義務が5年なので、廃棄されている場合があるかもしれません。
市区町村によっては改製作業の際に附票をチェックし、 「除籍」「改製原戸籍」の附票で5年経っているものは廃棄するケースもあるようです。
「戸籍請求書」には下の図の東京都新宿区のように、「戸籍」「除籍」「改製原戸籍」に加えて「附票」が必要かどうかを表記しているところもあります。

窓口や郵送で戸籍を請求する際は、「家系図作成のために、その市区町村で取得できる範囲の戸籍とその附票をすべて欲しい」という目的を言うといいでしょう。
役所側も目的がわかったほうが調べやすく、戸籍の実務者としてのアドバイスをもらえます。
戸籍を取得できる親族の範囲
以上は「本籍地」と「筆頭者(戦前は戸主)」で特定される「あるひとつの戸籍」について述べてきました。
「本籍地」か「筆頭者」が変わると別の戸籍ということになります。
家系図作成のための戸籍収集では、本籍地か筆頭者の異なる「別の戸籍」を複数集めることになります。
複数ある戸籍を請求できる範囲には、制限があります。
ある戸籍を請求できるのは「その戸籍に記載のある人かその配偶者」「直系尊属(父母等)」「直系卑属(子等)」となっています。
下の図で示すと、戸籍請求者が「本人」として、「本人の配偶者または青い部分(直系血族)に入っている人」が記載されている戸籍を請求することができます。
青い部分は先祖の方向も子孫の方向も6番(6親等)まで表示されていますが、戸籍がある限り6親等を超えても制限はありません。

夫婦が自分たちの家系図を作ろうとする場合なら、夫と妻それぞれが請求者となれば、それぞれの父母・祖父・曾祖父など直系の戸籍を集めることができます。
請求者が取れない範囲の戸籍は、その戸籍が取れる親戚に依頼することになります。
上の図で「本人の配偶者または青い部分(直系血族)に入っている人」が記載されている戸籍を請求することができるのですが、それは「青い部分以外の人が記載されている戸籍」は手に入らず、家系図に青い部分以外の人が書けないということではありません。
戸籍は、図の何人かがまとまってひとつの戸籍に入っています。
たとえば「父」が筆頭者の戸籍には、図の青い部分に入っていない「本人の兄弟姉妹」の出生は記載されているので、家系図に反映できます。
「本人の兄弟姉妹」が婚姻により、夫となって新しい戸籍に移ったり、妻となって別の戸籍に移ると、そちらの戸籍は青い部分の人が記載されていない戸籍になるので請求できない、ということです。
同様に「本人のおじ・おば」は青い部分に入っていませんが、「祖父」が筆頭者(または戸主)の戸籍に出生の記録があるので、家系図に反映できます。
このように、自分が請求できる範囲の戸籍でも、青い部分以外の人について、出生の記載から名前がわかったり、「従前戸籍」欄から(おそらく)父の名前がわかったりします。
戦前の戸籍なら、さらに多くの記述があるので、予想以上に家系図に反映できる情報があります。
以下では、実際に「戸籍をさかのぼる」やり方をみていきましょう。
本籍地の市区町村にある自分の戸籍の請求
まず自分の戸籍を請求するとします。
戸籍は「本籍地」と「筆頭者名」で特定するので、それがわからない場合は、「本籍」「世帯主」にチェックをいれた「住民票請求」で住民票を取得し、本籍地を確認します。
戸籍は、本籍地のある市区町村の役所で入手します。
戸籍にはすべての情報が入っている「謄本」と、特定の人だけの情報が入っている「抄本」があるので、すこしでも多くの情報が欲しい家系図作成の場合は「謄本」を請求します。
先に述べたように「戸籍請求書」には「戸籍」「除籍」「改製原戸籍」がそれぞれ必要かどうかを記入するので、すべて必要とし、それぞれの「謄本」を請求します。
「ひとつ前の戸籍」の取得
戸籍を取得したら、内容を読んでみます。
戸籍には「ひとつ前の戸籍」ともいうべき戸籍が存在します。
「ひとつ前の戸籍」には2種類あります。
その戸籍が戸籍改製によってできている場合
こちらは「戸籍全体のひとつ前のバージョン」ともいうべき戸籍です。
下の図のように、「戸籍事項」に「戸籍改製」とあり「改製日」「改製事由」が表記されている場合は、その戸籍は戸籍改製によって作成され、「改製前の現役の戸籍」にあたる「改製原戸籍」が同じ市区町村に存在するということです。

この場合は、請求する戸籍に加えて「改製原戸籍」も欲しいわけですが、先述したように、戸籍の請求書の「改製原戸籍」にチェックを入れていれば同時に取得できるので、実際は内容を読んで「改製原戸籍」だけ別請求する必要はありません。
ひとつ前に在籍した戸籍
こちらは戸籍全体ではなく、記載されている人ごとの「ひとつ前に在籍した戸籍」のことです。
現在自分の属する戸籍の筆頭者が「自分」の場合は、次にさかのぼりたい戸籍は「自分」がひとつ前に属していた戸籍と、「妻」がひとつ前に属していた戸籍でしょう。
また、自分の属する戸籍の筆頭者が「父」の場合は、次にさかのぼりたい戸籍は「父」がひとつ前に属していた戸籍と、「母」がひとつ前に属していた戸籍でしょう。
このように、さかのぼりたい人がひとつ前に属していた戸籍が存在する場合は、人ごとに「従前戸籍」欄に書かれています。
そこに書かれている住所と氏名が、その人がひとつ前に属していた戸籍の本籍地と筆頭者です。
下の図は、「婚姻」によってその戸籍に入った人の「従前戸籍」の記載です。

戸籍の請求は市区町村別
戸籍は市区町村別に保管されているので、さかのぼる戸籍が同じ市区町村にある場合は、まとめて請求できると便利です。
必ず同じ市区町村に存在する「改製原戸籍」については、戸籍請求書の「改製原戸籍」にチェックをすることで手に入るので、別に請求する必要はありません。
しかし「ひとつ前の戸籍」は「本籍地」は同じで「筆頭者」の異なる戸籍の場合は多くあります。
このような場合は、同じ市区町村ですが、別に請求することになります。
このあたりは、先述したように窓口や郵送で、「家系図作成のために、その市区町村に保管されている取得できる範囲の戸籍とその附票をすべて欲しい」という目的を言っておくと、便宜をはかってもらえるかもしれません。
なお、2019(令和元)年5月31日公布の「戸籍法の一部を改正する法律(令和元年5月31日法律第17号)」により、法令上は最寄りの市区町村役場で入手できるようになりましたが、下の図のように、実際にできるのは2024年からのようです。


戸籍関連書籍
以上のような戸籍に関する情報は、戸籍について系統的に書かれた書籍で確認しておくといいでしょう。
戸籍関連の書籍には、
- 家系図作成を念頭においた戸籍の書籍
- 相続事務を念頭においた戸籍の書籍
- 戸籍実務を念頭においた戸籍の書籍
- 戸籍の歴史や法令などの研究書
があるようです。
ここで必要なのは、家系図作成の準備としての戸籍の知識のことなので、家系図作成を念頭において、明治以来の戸籍についての情報がまとめられているものがいいでしょう。
■清水潔『戸籍を読み解いて家系図をつくろう』日本法令、2009年、263頁、1,870円
書籍全体として、家系図作成の書籍ですが、戸籍についても詳しく、
第3章 戸籍を手に入れる
第4章 戸籍の編製から廃棄まで
第5章 戸籍書籍の時代による違い
第6章 改製について
第7章 戸籍のたどりかた
のように、全10章のうち半分が戸籍について書かれています。
■伊波喜一郎、山崎学、佐野忠之『わかりやすい戸籍の見方・読み方・とり方』日本法令、2008年、191頁、1,760円
全編が家系図作成を念頭においた戸籍についての書籍です。
第1章 戸籍のキホン
第2章 古い戸籍から今の戸籍までの見方
第3章 昔の大所帯戸籍を分析してみよう
第4章 転籍
第5章 戸籍が生まれる原因、なくなる原因一覧
第6章 養子縁組の戸籍をみてみよう
第7章 離婚するとどうなるの?
第8章 外国人と日本の戸籍
■上原敬『図解でわかる戸籍の見方・読み方 第2版』、経済法令研究会、2020年、109頁、1,100円
家系図作成ではなく、主に相続事務の際に必要となる戸籍についての書籍ですが、上記2冊(A5版)より大きく薄いB5版のQ&A形式の書籍で、上記2冊より安価です。
- 戸籍の基本と事務
- 昔の戸籍・今の戸籍
- 戸籍調査のポイント
- 法定相続人の調べ方
■千葉諭『一人でできる はじめての戸籍の読み方・取り方』、翔泳社、2014年、176頁、1,760円
■石原豊昭、國部徹、飯野たから『戸籍のことならこの1冊(はじめの一歩)第4版』、自由国民社、2017年、164頁、1,760円
■丸山学『すぐわかる戸籍の読み方・取り方・調べ方 – 相続手続き、家系図づくるりに役立つ!』、成美堂出版、2012年、191頁、2,727円(古本)
著者は他にも家系図関連の書籍があります。在庫がないようで、古本でのみ入手できるようです。
メモ
家系図マインドマップは、公式な記録である戸籍に記載されている確かな情報でないと書いてはいけないというようなことはありません。
戸籍の取得できる範囲は先述のように限られているので、それを補う情報は、親戚から聞いたというものでも大切にして家系図に反映させましょう。
重要なのは、その時に「情報のソース」を残すことで、それがここでいう「メモ」です。
家系図マインドマップのようなまとまったかたちで残された情報は、のちに誰かが検証しようとするものです。
自分の取れなかった範囲の戸籍を取って、追加したり、誤っていれば修正しようとしてくれます。
そのときに、「元の情報のソース」がわかることが重要です。
「メモ」には
- 作成の日付
- 作成者
を書いておきましょう。
パソコンで作成し印刷したものでももちろんいいですが、むしろ手書きのほうが、誰がどのような字を書いたかの史料となります。
「メモ」には
- こんな情報を聞いたことがある、などを記した文章
- 自作手書きの家系図や年表
などがあります。
下の図は、手書きの家系図と年表の例です。


写真
家系図マインドマップや関連年表は、顔写真を入れると格段にわかりやすくなります。
写真には、アルバムなどにある紙の写真と、スマホなどで撮りパソコンで扱えるデジタルの写真があります。
家系図マインドマップや関連年表で使う顔写真は、デジタル化する必要があるので、スキャナがあればスキャンしてデジタル化しましょう。
戸籍や「メモ」などの紙の文書も同様に、スキャナがあればスキャンしてデジタル化し「家系図出典資料」としてPDFにまとめます(「「家系図出典資料」の作り方」)。
スキャナがない場合は、最近のスマホは高い解像度のきれいな写真が撮れるので、スマホの写真でも十分代用になります。
家系図作成関連書籍
家系図マインドマップではありませんが、一般的な家系図を作成する手順や注意点、体験談を書いた書籍があります。
1冊でも読んでおくと、家系図作成とはどういう作業なのかの全体像がわかり、安心して取り組めるようになるでしょう。
■清水潔『戸籍を読み解いて家系図をつくろう』日本法令、2009年、263頁、1,870円
戸籍関連書籍でも紹介した書籍です。明治の戸籍より前の情報へのアクセスについては書かれていませんが、明治以来の戸籍を集め、読み取り、家系図を作成していくもっとも基本的な手順が詳細に書かれています。
第1章 家系図とはなにか
第2章 家系図作成の流れ
第3章 戸籍を手に入れる
第4章 戸籍の編製から廃棄まで
第5章 戸籍書籍の時代による違い
第6章 改製について
第7章 戸籍のたどりかた
第8章 文字や地名の解読
第9章 家系図のかたち
第10章 さあ、家系図をつくろう
■岩本卓也監修『わが家のルーツが解る 家系図を作ろう!』枻出版社、2014年、128頁、1,607円
絵が多く、時間をかけないで家系図作成の全体像を知りたい人に向いています。
第1章 家系図に描かれる人々
第2章 家系図の種類
第3章 最大の情報源『戸籍簿』『除籍簿』
第4章 ご先祖を知るための情報
第5章 家系図の作り方
第6章 遺産相続の基本ルール
■橋本雅幸『江戸時代の祖先と出会う 自分でつくれる200年家系図』、旬報社、2015年、112頁、1,540円
第1章 戸籍に親しむ
第2章 戸籍を読み解く
第3章 戸籍以上をさかのぼる
第4章 家系図の書き方
■インデックス編集部『家系図の世界 – あなたのルーツを辿ってみよう!』(文庫)、イースト・プレス、2010年、245頁、734円
はじめに – 「家系図」を作って、ルーツ探しの旅に出よう!
第1章 「家計調査」で自分のルーツを辿ってみよう
第2章 「家系図」を作ってみよう
第3章 「名字」の歴史
第4章 日本の名字50と家紋
第5章 家紋一覧
おわりに – 「家系図」の旅で見えてくるもの
■丸山学『自分でできる家系図 – 戸籍取得から作成まで』、二見書房、2012年、79頁、1,980円
家系図関連書籍の多い著者ですが、ページ数が79頁と少なく、実際に家系図を書く台紙などが付属しているもので、本格的家系図作成のテスト版のような位置づけでしょうか。
第1章 家系図の作り方、先祖のたどり方
第2章 戸籍取得のための基礎知識
第3章 戸籍の基本的な読み取り方
第4章 古い戸籍の読解に挑戦する
第5章 江戸時代のルーツ探しノウハウ
第6章 名字と家紋で自家のルーツを感じる
第7章 さあ、家系図を仕上げよう!
■渡辺宗貴『私の家系図物語 – 調べてカンタン!すごいご先祖がわかる』、時事通信社、2019年、280頁、1,980円
■岩本卓也、八木大造『いまこそ家系図を作ろう』、エイ出版社、2010年、143頁、739円(古本)
- 名前と親族の話
- 家系図を作成してみよう
- 身近な情報を集める
- 実地調査と文献調べ
- 家系図作りにはパソコンが便利
- 人生が広がる家系図の使い方
- 世界にも広がる家系図ブーム
■丸山学『ご先祖様、ただいま捜索中! – あなたのルーツもたどれます』(中公新書ラクレ)、中央公論新社、2018年、240頁、902円
第1章 なぜ行政書士が家系図づくり?
第2章 いざ、ご先祖様探訪の旅へ
第3章 自分一人でも、ここまでは出来ます
第4章 先祖調査の疑問にお答えします!
■丸山学『先祖を千年、遡る』(幻冬舎新書)、幻冬舎、2012年、217頁、858円
第1章 自分のルーツは意外と分かる
第2章 名字・家紋から見える自家の歴史
第3章 戸籍をたどれば江戸時代のご先祖名が出てくる
第4章 菩提寺と墓石で江戸・明治期の自家の歴史をひもとく
第5章 千年のルーツを知るためのテクニック
家系図マインドマップに必要な作成スキル
家系図マインドマップを作るには、高度なスキルは必要ありません。
家系図マインドマップで使うメニュー項目は、以下に挙げる程度です。
「安倍晋三関連家系図」の例でいうと、
- 「著名な功績や公職 」 の文字を赤くするときに使う[書式][ノードの文字色]
- 「安倍家」などの家の名前の文字を太くするときに使う[書式][太字]
- 男性を薄いブルー、女性をピンクにするときに使う[書式][ノードの背景色]
- ノードをつなぐ線をブルーにするときに使う[書式][線の色]
- 婚姻と養子による異動を表すときに使う[挿入][矢印の追加]
- 婚姻はピンク、養子はブルーにするときに使う[矢印の色]
- 写真を表示するときに使う[挿入][画像]
- 「凡例」「出典」などを中心の円の左側に移すときに使う[ナビゲーション][ノードを左(右)に移動]
これくらいの操作ですから、ExcelやWordで文書、簡単な図が書けるくらいのスキルがあればだれでも作成できます。
マインドマップソフトFreeMindはユーザーも多いようので、使い方のわからないところは、ネット上の「FreeMind使おう会」やその他のサイトで解説されています。
家系図マインドマップを作成するときの5つのFreeMind覚書
FreeMindは先にも述べたように、安定版の最新版1.0.1が2018年8月なので、ちょっと古さを感じるソフトです。
以下では、そういう点も含めて「FreeMind覚書」を5点書いておきます。
しかし、このような点があるために「FreeMindは家系図作成ソフトとして不適」と感じることはありません。
ただいきなり出くわすと困惑することもあるので、あらかじめ知っておいたほうがよいと思います。
写真ファイルの置き場所
家系図マインドマップを配布するのは紙かPDFファイルがいいのですが、「「凡例」の書き方 」で述べたように、家系図マインドマップを独自に発展させたいので、オリジナルファイルが欲しいと言われる場合もあるかもしれません。
また作成や修正するPCが変わる場合は、家系図ファイルを移動させる必要があります。
FreeMindで作成したファイルは、拡張子が「.mm」のファイルひとつだけです。
家系図のなかに写真を使う場合は、「.mm」のファイルの中に写真も入るわけではありません。
「.mm」のファイルとは別の写真ファイルをリンクとして読み込んでいます。
そのため、写真を使う場合は、家系図全体で使うファイル数が写真の数だけ多くなります。
FreeMindファイルと写真ファイルをまとめて移動することを考えて、家系図全体を「家系図」フォルダに作成するとすると、
- 下の図のようにFreeMindの家系図ファイル(.mm)と写真のファイルを同じ「家系図」フォルダに置く

- 下の図のように「家系図」フォルダの下に「写真」フォルダをつくり、FreeMindの家系図ファイル(.mm)は「家系図」フォルダに、写真ファイルは「家系図\写真」フォルダに置く

のどちらかにしておくといいでしょう。
移動の時は、「家系図」フォルダを圧縮し、FreeMindファイルと写真ファイルをまとめて移動させます。
一度写真を添付してから、写真ファイルを移動させるとリンクが切れて表示されなくなるので、写真の置き場所は事前に決めておきましょう。
[名前を付けて保存]ダイアログ
家系図作成には支障はありませんが、ファイル保存のときの仕様です。
ファイル保存のダイアログ(ファイル保存メニューで起動するエクスプローラのような画面)で、他のファイルを削除したり、ファイル名を変更したりすることができません。
「「更新履歴」の書き方」で述べたように、家系図は時間をかけて作るので、ひとつのファイル名だけ付けて上書き保存を重ねていくとそのファイルが壊れた場合にすべてやり直しとなります。
それを防ぐために、オリジナルのファイル名に上書きするのに加えて[名前を付けて保存]でファイル名の最後に日付を入れたものを新たに保存するとします。
日付入りファイル名のファイルを下の図のように、最新10個を残すとします。
今日が2019年4月11日の場合、今日作業した分を「安倍晋三関連家系図.mm」ファイルに上書きし、さらに「安倍晋三関連家系図_2019-04-11.mm」として保存したいとします。
通常のソフトの[名前を付けて保存]メニューのダイアログは下の図で、「安倍晋三関連家系図_2019-04-01.mm」を右クリック[削除]で削除したうえで、「安倍晋三関連家系図_2019-04-11.mm」として保存することができます。

FreeMindの[名前を付けて保存]ダイアログは下の図で、ダイアログの中でファイルを右クリックしても[削除]や[名前を変更]メニューが出てきません。
一度ファイルを保存したあと、ファイルエクスプローラーで「安倍晋三関連家系図_2019-04-01.mm」を削除することになります。

起動時に前回使用したファイルを開く(開かない)設定がある
FreeMindを起動したときに前回使用したファイルを開く(開かない)の設定があります。
通常のソフトではあまりみかけない設定です。
家系図ファイルを開く際、FreeMindを一度起動し[ファイル][開く]から開くのではなく、直接家系図ファイルをダブルクリックで開くとき、前回使用したファイルが開く設定になっていると、同じファイルを同時にふたつ開くことになるので、戸惑ってしまうこともあります。
前回使用したファイルを開かないようにする方法は、「FreeMind起動時に前回使用時のマップを開かないようにするには」(FreeMind使おう会)で説明されています。
文字化け
FreeMindでは、たまに文字化けを起こしているノード(文字を書いた部分)があることに気がつくことがあります。
文字化け発生の頻度は低く、毎日同じファイルを起動して使っていても、月に一度もありません。
「文字化け」とはどのような現象なのでしょうか。
たとえば下の図のように表示されるノードがあるとします。

URLを書いたノードを編集するときの[ノードの長文編集]ウィンドウは下の図です。
![正常なノードの[ノードの長文編集]ウィンドウ](https://ftmindmap.com/wp-content/uploads/2019/10/requirement-garbled-normal-editor.jpg)
これが文字化けすると下の図のようになります。

文字化けしたノードの[ノードの長文編集]ウィンドウは下の図です。
上の図の正常な場合とくらべ、少し変わったものとなっています。
![文字化けしたノードの[ノードの長文編集]ウィンドウ](https://ftmindmap.com/wp-content/uploads/2019/10/requirement-garbled-garbled-editor.jpg)
「FreeMindのノートの文字化け」(FreeMind使おう会)に文字化けの予防策が書かれています。
この予防策は「ノード」ではなく「ノート」(FreeMindにはノードの補足説明を書く「ノート」という部分がある)の文字化けについてです。
上記の文字化けは、一見すると文字化けですが、HTMLの特殊文字で書かれています。
これを特殊文字の意味する「表示」に書き直すと、
<html>
<body>
<p>
https://freemind.asia/basics/<content ename=”content”>
<p>
<body>
<html>
となります。
予防策に書かれているように「<content ename=”content”>」が自動挿入されていることがわかるので、これが原因かもしれません。
予防策にあるように[環境][自動保存]を「2000000000」として自動保存を無効に設定することを、とりあえずやっておいたほうがいいでしょう。
ただ、上記の文字化けはこの設定で起こっています。
文字化けが起こった場合、元の文章は復元できないようです。
家系図ファイルを過去10バージョンくらい保存する習慣をつけていても、文字化けした部分が正常に残っているバージョンはおそらくありません。
このノードを書いて最初に保存する前に文字化けしているということでしょう。
このように文字化けの頻度は少なく、資料に当たれば書き直せるので、わたしはほとんど気にしていません。
FreeMindの後継ソフト
FreeMindの後継ソフトとしてFreeplaneが出ています。
家系図ソフトとしてのFreeplaneは、まだ検証不十分なので今後の課題とします。