本サイトでは、これから家系図を作ってみたいと思っている人に、家系図の性質や利用シーンから考えて、家系図作成にむいているフリーソフトをひとつおすすめし、それを使った家系図の作り方を詳述します。
また、忙しくて時間のない方や自分では作れない方に、おすすめ家系図ソフトで家系図を作成するサービスをご案内します。
本サイトで対象としている方は、
- 家系図の自作を考えていて、家系図作成に向いているソフトを探している方
- 家系図作成の依頼を考えている方
両方です。
内容は、パソコンのスキルがさほど高くなくてもわかるように、平易な説明を心がけています。
目次
家系図を作りたい人の2つのタイプ
ルーツをどこまでも辿りたいタイプ
家系図作成の目的が「ルーツをできるだけたどって知りたい」タイプです。
ルーツを知るために縦に直系をたどることが目的で、横に広がる傍系(兄弟姉妹)は重視しないケースが多いでしょう。
明治までは戸籍で追えますが、その先の江戸時代以前は、図書館や寺社、個人宅に保存されている宗門人別改張や古地図、古文書などの「史料」が必要です。
お墓の調査や周辺の家への聞き取りなどの現地調査も必要でしょう。
時間と専門的スキルが必要となるので、それがない方は家系図作成業者に依頼することになります。
金額的には高額になるかもしれません。
作成される家系図は、巻物タイプ・和本・DVDなど、家系図作成業者が作成したものとなります。
明治以降の戸籍を家系図にするのでよいタイプ
自分で集められる明治以降の戸籍の範囲を家系図にするのでいいというタイプです。
現在に続く戸籍は明治に作られたので、戸籍をたどっていくと江戸時代末に生れた人までは戸籍に載っています。
その範囲の家系図で十分というタイプです。
戸籍は自分で市役所に行くか郵送依頼して集められるので、家系図も自分で作ってみたい方が多いのではないしょうか。
自分で集めることのできる戸籍は直系(直接的な親子の系統)の戸籍ですが、家系図作成の意図をわかってもらえば傍系(兄弟姉妹やおじ・おばなど共通の祖先をもつ直系ではない系統)の人に傍系の戸籍を集めてもらうこともできます。
それを反映させれば、家系図は直系の縦だけではなく、傍系の家系図や妻となった人の実家の家系図が加わり、横に広がったものとなるでしょう。
おすすめ家系図ソフトは特にこのタイプに役に立ちます。
明治以降の戸籍でよい場合でも、自分で戸籍を集めるのではなく、それも含めて業者に依頼したい場合もあります。
以下の「川端美術展」「東京書芸館」「大野屋」は、明治以降の戸籍を調査・蒐集し、美しい巻物や木製フレームとして納品するタイプの家系図作成業者です。
家系図作成業者の例:
「川端美術展」
「東京書芸館」
「大野屋」
まとめ
- ルーツをたどることが家系図作成の目的である人は、家計図作成業者に依頼する必要があるので、家系図作成ソフトは業者の選択にゆだねられます。
- 明治以降の戸籍の範囲の家系図でよい人は、戸籍収集と家系図作成が自力でできるので、家系図作成ソフトは自分で選ぶことができます。
利用シーンから考える家系図作成ソフト
家族で家系図を見たい
「祖父や祖母が生きているうちに、家系図を作って見せたい」
「祖父や祖母が生きているうちに、家系のことをいろいろ聞いておきたい」
祖父や祖母に限らず、高齢になった父母や親戚を見るとこう感じることが多いのではないでしょうか。
家族で家系図を一緒に見ているシーンをイメージしてみましょう。
みんなで見ているのは、ふつうは紙の家系図でしょう。
最近なら、大きなテレビにパソコンかスマホから映し出された家系図かもしれません。
紙の家系図の場合、自宅のプリンタで印刷できるのはA4か大きくてA3でしょう。
しかしA3では収まりきらない家系図も多いはずです。
そのときは大きな紙での印刷を印刷業者に依頼することになります。
印刷業者に渡すときはMicrosoft Officeファイルや画像ファイルもOKですが、PDFファイルで渡すのがいいでしょう。
PDFなら拡大しても字がつぶれないで、テレビで見るにも適しています。
PDF作成ソフトは是非持っておきたいところです。
PDF作成ソフトをインストールすると、仮想プリンタ機能が使える場合が多いので、家系図作成ソフトの印刷メニューからPDFファイルを作成することができます。
ほとんどの家系図作成ソフトには印刷機能はついています。
家系図を親戚に配りたい
家系図がないと自分の知っている親戚関係は、親から教えてもらった情報だけです。
この状態では、知っている親戚の数は少なく、その範囲に偏りが出ます。
よく行くあの親戚はよく知っているが、疎遠なあの親戚のことはよく知らないということは、よくあることです。
家系図があるのとないのとでは情報量が圧倒的に違います。
家族だけでなく親戚で共有できる家系図を誰か作ってくれないかなと思うのは当然です。
「親戚の中で家系図を作ろうと思っているのは自分しかいないようなので、親戚の家の分まで含めた家系図を作りたい」と、自分が作って親戚に配りたいと考えている人も多いでしょう。
自分が作った家系図はどうやって親戚に配るのがいいでしょうか。
いまどきは、どこの家にもパソコン(Windows, Mac)かスマホを使っている人が誰かいるでしょうから、そういう場合はPDFファイルにして送れます。
しかし、家系図のようなものは、やはり紙に印刷したものが一番喜ばれると思います。
PDFファイルは紙に加えて送ればいいでしょう。
ここでも、家系図作成ソフトに加えてPDF作成ソフトは欲しいところです。
子供が生まれたので家系図に書き加えたい
「子供が生まれたので、家系図に書き加えたい」
「祖父が亡くなったので、その情報を家系図に入れておきたい」
このような要望は「家系図の宿命」ともいえるものです。
人は必ず亡くなるので、追加修正を加えない家系図は存在しないともいえるからです。
問題はそれがかなり先かもしれないことです。
長く更新し続ける家系図を想定すると、子供の世代が更新する場面も考えておかなくてはいけないかもしれません。
一番確実なのはやはり「紙の家系図」でしょう。
家系図作成業者の納品物にあるような巻物タイプでも和本タイプでも、子孫を書き加えるスペースが最初からたっぷりととってあるのようなものであれば安心です。
毛筆で書かれていても、家系図に毛筆で加筆してくれるプロはどんな時代になってもいるでしょう。
子孫を書くスペースが足りなくなっても、巻物や和本の紙を追加してくれるプロは、日本なら必ずいるはずです。
皮肉なことに、問題はむしろデジタルのほうです。
ITの進歩は速いので、パソコン(Windows, Mac)はどんどんバージョンアップしていきます。
家系図作成ソフトで作成した家系図ファイルは、デジタルでずっと保存できます。
しかし、パソコンがバージョンアップを重ねた何年も先に、そのパソコンに家系図作成ソフトがインストールできて正常に動作するかは疑問です。
たとえば、今のWindowsで20年以上前のMS-DOSのソフトを動かすようなものだと考えると、おそらく正常には動作しないと考えたほうが自然かもしれません。
ひとつの解決策は、家系図作成ソフトが動作する環境を丸ごと保存することです。
これはハードのパソコンごと保存する意味ではなく「OSと家系図作成ソフト」をまとめて保存するという意味になります。
将来のバージョンアップされているWindowsやMacにインストールするのではなく、現在の「OSとその上で動作している家系図作成ソフト」を将来のパソコンで使うという意味です。
家系図作成業者の家系図を更新したい
家系図作成業者に作成してもらった家系図に、死亡や誕生を追加する際はどうでしょうか。
そのときは、家系図作成業者に追加修正を依頼することになります。
ふつうは追加修正サービスは織り込み済みでしょう。
もしそれができないはどうでしょうか。
紙の家系図なら先に述べたように、加筆修正してくれるプロは必ずいると思います。
DVDなどで納品されたデジタル化されたデータはどうでしょうか。
PDFなら追加編集ができないことはないでしょうが、できればPDFにする前の家系図作成ソフトの段階できれいに追加修正したいものです。
では納品DVDに追加修正できるファイルは入っているのでしょうか。
家系図をファイルで修正するには、Excelで表を修正するのと同じように、家系図を作るソフト自体とそれで作った家系図ファイルが必要です。
家系図を作るソフト自体がDVDに入っていることは、あまり考えられない気がします。
入っていれるとすれば作成された家系図ファイルでしょう。
それがExcelやWordならラッキーです。
将来追加修正する時点でも、ExcelやWordならソフト自体が存在する気がしますので、修正できそうです。
しかし、ExcelやWordのような誰でも持ってそうなソフト以外で作ったファイルだと、どうでしょう。
まずその作成ソフトを手に入れてインストールしなくてはいけません。
将来追加修正する時点では、WindowsやMac OSはかなりバージョンアップしているかもしれません。
バージョンアップされたWindowsやMac OSでちゃんと動いてくれる「家系図を作ったソフト」がその時も存在しているかは心配なところです。
追加修正が発生するのは何年先のことかわかりません。
家系図の寿命は長いので、業者も作成ソフトも、はたしてそのとき存在しているのかも不安が残るところです。
おすすめ家系図ソフトとの関連でいうと、家系図作成業者に依頼したうえで、さらに保険として、業者に作成してもらった家系図をもとに、自分で追加修正できる「自作家系図」を別に用意しておくと安心かもしれません。
わたしの場合、戸籍の情報を家系図としてひとつにまとめようと思った
わたしの場合、家系図作成とは別の目的で戸籍を集めなければならないことがありました。
最近の活字で書かれた戸籍と、毛筆で手書きの古い戸籍が手元に集まりました。
一番古い情報は、江戸末期生れの人の情報が載っていました。
戸籍には生年月日、親子関係のほかにも、当時の住所や「誰がいつ出生や死亡を届けたか」などの情報も書かれていました。
家族も当然知らない情報です。
またいくつかの戸籍には重複する情報がありました。
そのため、これらの情報を一ヶ所にまとめて整理してみたい思うようになりました。
そして、このような目的に沿うような家系図を作りたいと思いました。
わたしのイメージでは、名前だけがツリー上に書かれている家系図では情報量が物足りないというイメージでした。
わたしの家系図作成の前提は、以下のようなものでした。
- 戸籍などの資料収集については、とりあえず今集まった戸籍をまとめたい。
- 戸籍以外の資料として、親や親戚から聞いた話があるので、それを加えたい。
- マイクロソフトの Officeソフト(Word, Excel, PowerPoint, OneNoteなど)を使いこなすスキルはあるので、イメージしている家系図を作れる家系図作成ソフトを選び、家系図を自分で作ってみる。
まとめ
- 家系図の印刷・テレビへの映し出し・配布を考慮すると、家系図作成ソフトに加えてPDF作成ソフトが必要です。
- 家系図は、死亡と誕生の追加修正が何年か先に必ず発生するので、それができるようにしておきたい。
- 追加修正が一番確実にできるのは「紙の家系図」でしょう。
- PDFファイルは追加修正用には向かないので、家系図を作成したオリジナルのソフトでの修正が望ましい。
- 何年か先の追加修正は、そのときに動作すると予想されるExcel, Wordなどで作成された家系図なら追加修正ができるでしょう。
- 何年か先の追加修正は、そのときに動作するかどうかわからないソフトで作成した場合は、現在動作している「OSとその上で動作している家系図作成ソフト」を将来にも使う方法を考えるといいでしょう。
- 家系図作成業者の作ったデジタルの家系図が、何年か先に追加修正できない可能性がある場合は、将来修正ができる自作の家系図を別途作っておくと安心です。
わたしが探したおすすめ家系図作成ソフトの5つの条件
戸籍情報をまとめる目的で家系図を作ることにしたわけですが、探した家系図作成ソフト条件は以下の5つです。
家系図をパソコン(Windows, Mac)で作れる
家系図に記入するのは何十人と人数が多いので、わりと大きな図を想定しました。
閲覧はタブレットやスマホでも構わないが、作成はパソコンでやりたいと思いました。
そのため、家系図作成ソフトはWindows版、Mac版があるものを探しました。
フリーソフトがいい
家系図作成ソフトは年中使うソフトではありません。
ExcelやWordなどすでに毎日使っているソフトで家系図も作るのなら有料でも問題ありません。
しかし、有料の家系図作成専用ソフトやマイクロソフトVisioなどの有料図形ソフトだと、家系図作成のためだけに購入することになります。
わたしはそれは構わないと思いましたが、ここに抵抗がある方があるかもしれません。
フリーソフトがいいと思った理由は、家系図を配布したとき「私も自分で戸籍を集めて、この家系図に追加したい」という希望がある場合のことです。
「戸籍を送ってくれたらこちらで追加して送ります」と回答するのはいかがなものでしょう。
こちらとしても、予想しない負担になります。
その家なりの見たい家系図の範囲があるのは当然です。
その時「この有料ソフトを買ってください」とは言いにくいでしょう。
家系図を配布するとき、配布先で自由に追加修正もできるように、ソフトの配布も可能なフリーソフトがいいと思いました。
家系図作成ソフトの使い方の情報がネット上にたくさんある
使い方がわからないとき、マニュアルやヘルプで調べることは、今は少ないでしょう。
ネットで検索します。
その時、たくさんの記事があってすぐに知りたいことがわかることは、重要なことです。
家系図を印刷するためにPDFで出力できる
わたしの想定した家系図は、自宅のプリンタが印刷できる最大の紙の大きさであるA4・1枚では入りません。
横に伸びる家系図にして、A4用紙で何枚も印刷したものを綴じて、A4サイズの本のようにしようかとも思いましたが、やはり1枚の大きな図として印刷したいと思いました。
そのため、印刷については、大きな紙での印刷を印刷業者に依頼するしかないと割り切りました。
印刷業者に渡すにはPDFファイルが適しています。
パソコン・タブレット・スマホ・テレビでの閲覧用にも、PDFなら拡大したときに字がつぶれないできれいに見えます。
AcrobatなどのPDF作成ソフトをインストールすれば、仮想プリンタ機能でPDFを作成するので、家系図作成ソフト側には印刷機能がついていればいいということになります。
ほとんどのソフトには印刷機能はついているので、この点はどんな家系図作成ソフトでも大丈夫でした。
家系図の利用期間と同じくらい長く使える
先に述べたように、何年も先の将来、家系図の追加修正が発生したときに、バージョンアップされたパソコン(Windows, Mac)で家系図作成ソフトがちゃんと動作するかは、かなり気になるところです。
マイクロソフトOfficeのWordかExcelかPowerPointなら、たぶん大丈夫でしょう。
しかし残念ながらマイクロソフトOfficeは、私の希望する家系図をつくるにはあまり適しませんでした。
先に述べたように、将来のパソコンでも正常動作させるための解決方法のひとつは、バージョンアップされたパソコン(Windows, Mac)にインストールするのではなく、現在の「OSとその上で動作している家系図作成ソフト」を将来もそのまま使うというものです。
USBに「OSと家系図作成ソフトと家系図ファイル」を保存しておき、それを将来のパソコンでそのまま使います。
将来のWindowsやMacを起動させずに、ハードウェアとしてのパソコンだけを使い、USBの「OSとその上で動作している家系図作成ソフト」を使います。
この場合、USBに入れておく「OS」は、WindowsとMacはあまり適しません。
こういう使い方に一番適しているのは、無償のLinuxディストリビューション(Linuxを一般利用者がインストールしたり、利用できる形にまとめ上げたもの)を数多く提供しているLinuxでしょう。
この理由から、家系図作成ソフトはLinux版があるものを探しました。
結論
以上の5つの条件で家系図作成ソフトとして選んだのは、マインドマップを作成するソフトであり、具体的にはFreeMindです。
まとめ
- マインドマップソフトFreeMindは、Windows版、Mac版があるので、家系図をパソコンで作ることができます。
- マインドマップソフトFreeMindは、フリーソフトなので、家系図を独自に修正・追加したいときに、ソフトを配布できます。
- マインドマップソフトFreeMindは、「FreeMind使おう会」など、ネット上で使い方を教えくれるサイトがたくさんあります。
- マインドマップソフトFreeMindは、印刷機能があるので、Acrobatなど仮想プリンタでPDFを作成するソフトをインストールすれば、家系図のPDFを作成することができます。
- マインドマップソフトFreeMindは、Linux版があるので、USBから起動するLinuxにFreeMindをインストールしておけば、将来のパソコンでFreeMindを動作させることができ、家系図の長い利用期間に対応することができます。
おすすめ家系図ソフトで作った家系図マインドマップとは
サンプル「安倍晋三関連家系図」
おすすめ家系図ソフトFeeMindで家系図を作ると、どのような家系図になるのでしょうか。
「家系図マインドマップ」のイメージとして、サンプルの「安倍晋三関連家系図」(PDF)をご覧ください。
家系図作成に使った資料はWikipediaです。
安倍晋三のWikipediaには親族の情報が載っています。
そこから親族のWikipediaをたどっていきました。
岸信介や佐藤栄作などのWikipediaには、家系図も載っています。
それらをまとめて作ったサンプルです。
「安倍晋三関連家系図」の範囲は特に決めていません。
もっと範囲を絞ることも、さらに範囲を広げることもできます。
下の図は、「安倍晋三関連家系図」の全体図です。
各「家」は「ひとりの人物」から始まる
下の図は、サンプルの「安倍晋三関連家系図」に入っている「家」だけを表示したものです。
「家」の数が多いので、整理するために「都道府県」別にしています。
各家は、まず一人から始まり、そこから子孫が枝分かれしていくかたちで書きます。
下の図は、「安倍家」の書き始めの部分です。
「安倍英任」から始まり、そこから「安倍英任」の「妻」、「安倍英任」の「養子」などと枝分かれしていきます。
祖先を調べて一番遠い祖先をとりあえず一人書いておきます。
さらに遠い祖先が判明すれば、その人を「安倍家」と「安倍英任」のあいだに入れて修正します。
安倍家のような各家どうしは、婚姻か養子でつながりあっています。
「安倍晋三関連家系図」の中には皇室も出てきているので、「安倍晋三が皇室とどうつながるか」をたどってみると、
- 安倍晋三の母が安倍洋子(岸洋子)
- 岸洋子の父が岸信介
- 岸信介は佐藤家からの養子で、佐藤家の信介の祖母が佐藤みね
- 佐藤みねの子が佐藤さわ(信介のおば)
- 佐藤さわは吉田家の吉田祥朔と結婚し、その子が吉田寛
- 吉田寛の妻が吉田桜子
- 吉田桜子の姉妹が吉田和子(吉田茂は吉田桜子の父)
- 吉田和子は麻生家の麻生太賀吉と結婚し、その子が麻生信子(麻生太郎は麻生信子の兄)
- 麻生信子は三笠宮寛仁親王と結婚し寛仁親王妃信子
となります。
「安倍家」「岸家」「佐藤家」「吉田家」「麻生家」「皇室」の家どうしの横のつながりがここから見えてきます。
家系図マインドマップで「左右」と「上下」に広がる要素
家系図マインドマップで左右へ図が広がる要素はどんな要素でしょうか。
通常の家系図では上下に図が伸びる祖父・父・子などの「縦関係」は、家系図マインドマップでは左右に伸びるかたちで書いていきます。
また通常の家系図で横に並べて書く「夫妻」は、家系図マインドマップでは父・子同様に、左右に伸びるかたちで書いていきます。
家系図マインドマップでは、父・子の「縦関係」も夫婦の関係も、いずれも左右に伸びるかたちで書いていきます。
「縦関係」がどこまで広がるかは、通常集められる戸籍が明治以降作られたものなので、江戸時代末期に生まれた人まで広がります。
つまり、江戸時代末期から現代までの世代が多いと、その分横に伸びていく図になります。
家系図マインドマップで上下へ図が広がる要素はどんな要素でしょうか。
通常の家系図で「横関係」に当たる「兄弟姉妹」「家と家」の関係は、家系図マインドマップでは上下に並べて書きます。
そのため、書き込む家の数が多かったり、兄弟が多いと、その分上下に伸びる図になります。
また、家系図マインドマップで上下へ図が広がる要素として「メモ」があります。
下の図の「松岡洋右」の「メモ」欄を見るとわかるように、メモの数が増えると、家系図マインドマップは上下に伸びていきます。
江戸末期までの世代の数より兄弟姉妹や家の数、メモの項目のほうが多いので、家系図マインドマップは、縦長の図になりがちです。
サンプルの「安倍晋三関連家系図」もかなり縦長の図になっています。
おすすめ家系図ソフトとしてのマインドマップの5つのメリット
家系図をマインドマップで作成すると、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
まず5つのメリットから見ていきましょう。
家系図を手持ちの資料からすぐに作り始めることができる
マイクロソフトOffice(Word, Excel, PowerPoint。ここではVisioも含めます)は、将来的にもたぶんなくなることはないであろうソフトなので、これで家系図を作成すればいいと思ったのですが、家系図を作るやり方で合わない面がありました。
マイクロソフトOfficeで家系図を作る場合、戸籍や資料を集め、家系図の構図を決め、最後の清書段階で使う「清書ソフト」ともいうべき使い方をします。
家系図作成プロジェクトの最後の「清書」で使うソフトです。
あとから追加や修正が入ると、構図の再構成などが発生するため、やり直しには時間がかかりがちです。
家系図 マインドマップ は、資料収集・家系図構図の決定・清書の各段階をひとつひとつクリアしていく手法ではないため、手持ちの資料ですぐに作り始めることができます。
あとから資料が追加されても柔軟に対応できるので、「家系図の構図を決める」という負担がありません。
個人で家系図を作成するには適していると感じます。
家系図上の人の異動を矢印で表現できる
家系図マインドマップでは人の異動(おもに婚姻、養子)を矢印で表現できます。
他のマインドマップソフトによっては矢印が直線になるソフトもあります。
おすすめ家系図ソフトとしてのFreeMindでは、矢印は曲線になります。
家系図では関係性を示す線が直線なので、人の異動の曲線はそれと区別できていいと思います。
下の図は、松崎家の松崎昭恵が婚姻により安倍家の安倍晋三の妻となったことを表します。
明治・大正・昭和は、家の後継者がいない場合、養子が頻繁に行われています。
下の図は、佐藤信介が岸政信の養子になったことを表します。
婚姻をピンクの矢印、養子を青の矢印で表すことにより、婚姻と養子の区別がよくわかります。
家系図に、家系譜などに書く細かな情報をまとめることができる
下の図は、上でも見た家系図マインドマップ のサンプル「安倍晋三関連家系図」の松岡洋右の部分です。
通常、家系図には名前だけ書きます。
書き加えても生年月日・死亡年月日などで、その他の情報は「家系譜」と呼ばれる冊子に書きます。
家系図マインドマップでは、家系図の「メモ」にすべてを入れることができます。
構図の修正が簡単にできる
下の図は、麻生太賀吉の妻が麻生和子で、その間に麻生太郎ら6人の子どもがあることを表しています。
離婚などにより妻が複数いる場合もあるので、子供は妻の下にぶら下がるように書くと、誰の子どもかはっきりします。
しかし、下の図のように、夫の下に妻と子供を並べて書くやり方もあるでしょう。
上の図から下の図へ修正したい場合、家系図マインドマップではほとんど瞬時にできます。
マインドマップで人(ノード)を動かすと、それにぶら下がっている部分(ノード)が同時に移動し、自動的にきれいな配置に描画してくれるからです。
このように、家系図マインドマップでは、構図の修正は人(ノード)をドラッグで移動させるだけです。
家系図の一部を隠すことができる
マインドマップは「折り畳み」機能があるので、家系図の一部を隠すことができます。
下の図は、サンプルの「安倍晋三関連家系図」の安倍晋太郎一家の部分を、折りたたまないですべて表示した例です。
下の図は、写真や生年月日が記載されている「メモ」の部分を折りたたみ、よりシンプルな関係図として表示したものです。
「折り畳み」を使う例として、家系図を親戚に配布する場合があるかもしれません。
家系図はまだ生きている人の個人情報が満載で、離婚など微妙な情報も多いものです。
家系図に多くの「○○家」が載っている場合、配布先に全部見せてもいいものか考えてしまう場合もあるでしょう。
そういうときは、見せたくない「○○家」を折りたたむことができます。
下の図は、サンプルの「安倍晋三関連家系図」を、安倍家・岸家・佐藤家だけの関係図として表示した全体図です。
安倍家・岸家・佐藤家の部分は下の図のようになります。
写真や生年月日が記載されている「メモ」の部分はを折りたたんであります。
まとめ
- 家系図マインドマップは「清書ソフト」ではないので、手持ちの資料からすぐに家系図を作り始めることができます。
- 家系図マインドマップは、婚姻と養子による人の異動を矢印で表現できます。
- 家系図マインドマップは、家系譜に書く細かな情報を、家系図にまとめることができます。
- 家系図マインドマップは、ある人やある家を移動すると、そこから枝分かれしている部分が同時に移動するので、構図の修正が簡単にできます。
- 家系図マインドマップは、折り畳み機能があるので、一部を隠した家系図を作成することができます。
おすすめ家系図ソフトとしてのマインドマップの3つのデメリット
縦書き文字の家系図は作れない
通常、日本の家系図は文字が縦書きで、先祖は縦方向に伸びていきます。
家系図マインドマップは、文字が横書きなので、先祖が横方向に伸びる図になります。
中心に円がありここにタイトル「○○家 家系図」などと入れますが、この円より左に書くか右に書くかは、好みで選択できます。
同じ世代をラインとして表すことが苦手
通常の家系図では同じ世代が同じラインに並ぶ
通常、家系図の同じ世代は、下の図のように同じラインにそろいます。
ここでいう「ライン」とは下の図で、勲、昭恵、晋三…と続く、この家系図での横の並びのことです。
下の図では、一番上が「祖父祖母のライン」、その下が「父母のライン」、その下が「子のライン」ということもできます。
親子関係が「縦関係」とすると、ここでいう「ライン」とは兄弟姉妹の「横関係の世代を表す並び」のことです。
松崎家も安倍家も岸家も、各世代は、同じ横のラインに並んでいます。
マインドマップでは、ひとつのノード(文字ブロック)から枝分かれした複数のノードだけは、きれいにライン状に並びます。
しかし、それ以外のノードが揃ってライン状に並ぶことはありません。
家系図マインドマップでいうと、このような条件となるのは「同じ母親の複数の子ども」と「同じ夫と結婚した複数の妻」だけです。
それが、下の図の点線部分です。
それ以外は誰かと誰かが縦の同じラインにきれいに並ぶことはありません。
Excelのセルのように「図全体での同じ位置」という概念がマインドマップにはないためです。
通常家系図でも、同じ世代が同じラインに並ばない場合もある
ただ、通常の家系図でも、同じ世代が同じラインに並ばない例もあります。
異なる世代間で婚姻が行われる場合です。
下の図は、舒明天皇から聖武天皇までの古代皇室の家系図です。
古代史を勉強している方には、おなじみの系図でしょう。
このように世代が入り組む場合は、家系図の書き方として、「同じ世代を同じラインに並べる」ことよりも、まず「夫婦を同じラインに並べる」ことを優先的に書くようです。
その場合は、以下のように、同じ世代でも異なるラインに書かれます。
- 天武天皇と持統天皇は夫婦なので同じラインに書きます。そうすると、天智天皇と天武天皇は兄弟なのに同じライン(世代)になりません。
- 草壁皇子と元明天皇は夫婦なので同じラインに書きます。そうすると、持統天皇と元明天皇は姉妹なのに同じライン(世代)になりません。
- 文武天皇と宮子は夫婦なので同じラインに書きます。そうすると、宮子と光明皇后は姉妹なのに同じライン(世代)になりません。
異なる家の「同じ世代」は基準となる人によって該当する人が変わる
二つの家がひとつの家系図として描かれる家系図は、「二系統の家系図」と呼ばれます。
三つの家なら「三系統の家系図」です。
二系統や三系統の家系図で、家と家がつながるのは、婚姻か養子で家どうしがつながるためです。
婚姻の場合は、文武天皇と宮子、聖武天皇と光明皇后のように、夫と妻を同じライン(世代)として描きます。
養子の場合は、夫婦の子の世代のラインに、養子となった子を描くことになるでしょう。
このとき、異なる家を貫いて通る同じライン(世代)にはどういう意味があるでしょうか。
上の家系図では、皇室の草壁皇子と藤原家の藤原不比等は同じライン(世代)に並んでいます。
文武天皇・宮子からみると、草壁皇子と藤原不比等は「父の世代」なのでこれでいいでしょう。
一方、聖武天皇・光明皇后にとっての「父の世代」は、文武天皇と藤原不比等です。
しかし、藤原不比等は、聖武天皇からみると、祖父の草壁皇子のラインに書かれています。
もし聖武天皇中心の家系図なら、下の図のように、妻である光明皇后の父・藤原不比等と自分の父・文武天皇が同じラインにくるように書くほうがよかったかもしれません。
このように、通常の家系図で、異なる家にまたがる同じライン(世代)は、ある家から他の家へ異動した人を基準とした見た「同じ世代」のことです。
藤原家から皇室に入った宮子と光明皇后のそれぞれの結婚相手は、文武天皇と聖武天皇で、この二人は親子なので、世代がひとつずれています。
宮子にとっては、父・藤原不比等に対応する皇室側の「同じ世代」は草壁皇子です。
光明皇后にとっては、父・藤原不比等に対応する皇室側の「同じ世代」は文武天皇です。
姉妹である宮子と光明皇后は、父は同じ藤原不比等ですが、それに対応する皇室側の世代は、ひとつずれているということです。
通常の家系図であっても、異なる家の同じラインは、家系図の書き方によって「同じ世代」に該当する人が変わるという例です。
世代に特化した通常の家系図の書き方もある
夫婦を同じラインに並べて書くことよりも、「父と子の関係をライン的に正しく表現する」こと優先的に書くと下の図のようになります。
子どもは必ず同じライン(世代)に並ぶ書き方です。
「世代を見たい」ということなら、こちらのほうがよくわかるかもしれません。
夫婦関係は通常は同じラインに並べて書きますが、この家系図ではその点が崩れています。
皇室と藤原家の位置関係は、文武天皇・宮子がラインとなっていますが、聖武天皇・光明皇后をラインとする書き方もできます。
家系図マインドマップでは、世代の比較表現はできない
上の古代史家系図を家系図マインドマップで書くと下の図のようになります。
先に述べたように、家系図マインドマップでは、同じ母親の子どもだけは、縦方向のラインとしてにきれいに並びます。
「天智天皇と天武天皇」は同じ母親の子どもなので、縦方向のラインとして並んでいます。
「持統天皇と元明天皇」は父親は同じですが、母親が違うので、母親の文字数が異なるだけで、きれいなラインとして並びません。
このように家系図マインドマップでは、同じ家の家系図であっても、同じ母親の子どもどうし以外は、「誰と誰が同じ世代か」をきれいなラインとして表すことはできません。
通常の家系図では「藤原家の宮子」と「皇室の聖武天皇の妻としての宮子」を二人分書かずに、同じ位置にひとりとして書きます。
そして、聖武天皇・宮子夫婦の位置が隣に並ぶように、皇室と藤原家の各系図の位置関係を調整します。
その結果、聖武天皇夫婦からみた皇室と藤原家の「同じ世代」がラインとして並ぶことになります。
一方、家系図マインドマップでは、「藤原家の宮子」と「皇室の聖武天皇の妻としての宮子」をそれぞれの家系図に書き、それを矢印で結ぶので、皇室と藤原家の位置はどこでもかまいません。
そのため、聖武天皇夫婦からみた皇室と藤原家を貫く「同じ世代」をラインとして表すことはできません。
このように家系図マインドマップでは、ひとつの家の家系図内であっても、異なる家どうしであっても、同じ母親の子どもどうし以外は、世代をラインで表すことはできません。
家系図が複雑になり「シンプルで美しい」とはいえない
家系図マインドマップは、婚姻と養子を表す人の異動の矢印が飛び交うので、複雑な図に見えます。
下の図は、サンプル「安倍晋三関連家系図」の「安倍家」の部分です。
矢印が、人名や写真などの上にかぶさりますので、じゃまに思えるかもしれません。
安倍家に関係のない矢印が、安倍家の表示領域に入ってしまうこともあります。
家系図マインドマップは、職人技で清書したタイプの「シンプルで美しい」家系図ではありません。
まとめ
- 家系図マインドマップは、縦書き文字の家系図を作ることはできません。
- 家系図マインドマップは、「同じ母親の子ども」「同じ夫の複数の妻」を除き、人物をライン状にそろえて書くことができないので、同じ世代をライン状の位置に表すことができません。
- 家系図マインドマップは、矢印が飛び交うことなどから複雑に見え「シンプルで美しい」家系図にはなりません。